日本を代表する大企業が、続々と資産の効率的運用を理由に本社ビルさえも売却しているのです。大企業の工場も、生産拠点の海外移転が進むことで次々に閉鎖されています。日産自動車の座問工場や村山工場のように、町中にあった広人な工場敷地は、そのままマンション用地や大型ショッピングセンターへの転用が可能です。中小メーカーも倒産や廃業が相次また、幹線道路沿いの大型スーパー、ショッピングセンター、外食チェーン店も、個人消費の低迷から不採算店の閉鎖が続いています。このような土地が、マンション用地として市場に供給されるのです。不動産を売却しているのは民間企業だけではありません。国有財産についても不況による歳入不足を補うため、国有地の本格的な処分をはじめました。こうして大量に放出される企業、国の不動産を購入するのはマンション業者やオフィスビル業者だけでなく、外資系の投資専門会社も積極的に3入しています。いまでも東京都内では超高層ビルの建設がいたるところで行なわれていますが、今後も超高層ビルの建設ラッシュは続きます。オフィス、マンションが供給過剰状態にあることは、「テナント募集」「入居者募集」の貼り紙が町中にあふれていることからもわかります。首都圏では、2002年から入居者募集中の物件が増え、10万件を超えようとしています。賃貸オフィス、賃貸マンションはテナント、入居者確保の激しい競争をしているのです。賃料値下げなどは当たり前で、中には引っ越し費用を負担するビルオーナーも現れているほどです。テナント募集中のオフィス物件も首都圏では2002年ごろから急増し、いまでは約6万件に迫る勢いになっています。事情は関西圈でも同様で、バブル崩壊時の10倍近い居住用物件の募集が出されています。首都圏では賃貸住宅が毎年新規に12万~13万戸が供給され、うち賃貸マンションが8割になっています。新規供給戸数は横ばいですが、けっして少ない戸数ではありません。地方中核都市に匹敵する戸数が、首都圏では毎年、賃貸市場に供給されているのです。これでは既存賃貸住宅の入居者が減少するのは当然のことといえます。さらに賃貸物件の入居率は単身世帯、夫婦のみ世帯、ファミリー世帯とも減少傾向にあります。かつては収入が増えたり、子供が生まれると、より広い便利な賃貸マンションに移っていき、再び新しい入居者が見つかって、1つの需要サイクルができていました。ところがいまは、手に届く価格で、質も面積も賃貸マンションより勝っている分譲マンションという強力なライバルの出現によって、賃貸マンションから賃貸マンションへの移動が少なくなり、需要のサイクルが閉ざされつつあります。